よく泣く男の子②
よく泣く男の子だった息子は、
いつも機嫌のよい穏やかな男の人になった。
高校生になって、自分の気持ちをすごく上手に表現できるようになって
「すごい!随分上手にしゃべれるようになったね。」
とびっくりする私に、
「でしょ。やっと話せるようになりました。」
と微笑んだ。
時間がかかったけど、
息子は涙のかわりに
自分の思いを表現する方法をいくつも持った。
「意見の違う人と話すときは、自分が間違っていて相手が正しいのかもしれないと思いながら話をするんだよね。自分が絶対に間違っていないと思いながら話しているときは、自分の話は相手にとって暴力にしかならない、と思うから。」
なんて、落ち着いて話してくれたりする。
でも、もし言葉に詰まるようなことがあったら
息子は今でも涙をポロポロこぼすんだろうな。
それでいい、と思う。
もりやゆうこ【子育て相談室 根っこのこどもたち】